除染の失敗:低線量被曝の発がん等への影響

今日は「福島原発で何が起きたか」というシンポジウムに参加するために東大駒場キャンパスに来ています。

GE(ゼネラル・エレクトリック社)で原発(BWRのMARK Ⅰ)の設計、運転に携わったアーニー・ガンダーセンさんもパネリストとしてお話をされるので楽しみにしてきました。

マークⅠ型が出力に比べて格納容器が小さすぎて欠陥原発とアメリカ原子力規制委員会でも言われ続けてきたこと、内部の圧力が高まると格納容器の蓋(フランジ)のボルトが伸びてしまって放射能が漏れることが予想されていて、今回もそれが起きたことなど興味深い話をしておられました。

意外に勉強になったのは、山田さんという方の話で、今、福島で政府がやっている除染は、土を大量にはぎ取り、大量の汚染度を隣に置くだけで、除洗ではなく汚染の移動を大金を掛けてやっているだけで失敗であることがはっきりしていること、高圧洗浄も汚染の拡散であって、やはり除洗ではないということを聞けたことでした。

これに対して、山田さんが実践し、提案しているのは、草を表土とともに薄く剥ぎ、堆肥化して減量する、というもので、汚染土の分量を10分の1にできる、というもので、汚染土の垂直分布のデータを示されながら説明されたので、大変説得力がありましたが、改めて政府のいい加減なやり方にうんざりもさせられました。

また、崎山さんという方の話は、低線量被爆のことでした。被曝と発がん等への影響には閾値がなく、被曝量0から被曝量に比例して(右肩上がりに)直線上に発がん数が増えていく、というもので、改めて勉強になりました。低線量被曝もやはり健康被害をもたらす可能性があるのです。

発がんのメカニズムは、DNAの損傷によって、異常な細胞(=がん細胞)が発生するというもので、一方、放射線はどんなに少量でもDNAに損傷を与えるので、この話は極めて合理的、科学的です。広島原爆被害における疫学的データもこれを裏付けているようです。

これに対して、国や多くの専門家は、放射線を浴びても閾値(ある数値までは放射線を浴びても影響はない)があり、浴びた量が少なければ健康に影響はないという考え方を取っていますが、驚いたことにはこの考え方を文科省が小学校、中学校、高校の学習指導要領にも乗せて、子どもたちや教師に刷り込みを図っているそうなのです。

そして、その背景には、電力業界が金を使って、「閾値」の考え方を取るよう、長年、専門家にアプローチを掛けてきた歴史があるとのことです。またしても、です。

50年も前、米軍が市民や囚人、外国人を使って放射性物質や病原菌を使って大規模な人体実験を行い、悲惨な被害をもたらしてきたことが情報公開によって明らかになって、あきれたことがありましたが、日本も同じようなものです。

どこから手をつけたらいいかわかりませんが、少しでもまともな世の中になるように、ひとつずつ、戦いを続けていくしかありません。

青山雅幸 の紹介

ライトハウス法律事務所所長。 一見怖そう。人情に厚く涙もろい一面も。
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