日本人は投資を学ぶべき

最近、経済関連の記事を読んでいて、興味深いレポートを見つけた。

韓国の経済情勢が厳しく、国内格差が広がっていることは広く知られているが、その中でも勝ち組と言われている「サムスン」も、韓国国内にそれほどのメリットをもたらしていない、というのだ。その理由は、サムスンの株主構成にある。なんとその過半数が外国人だという。

したがって、韓国の方が汗水垂らして働き、日本企業を蹴散らして上げた利益の半分以上は、海外に流れてしまうのだ。

この事実の受け取り方や評価は、人それぞれだろうが、私は、外国人投資家の「目利き」はさすがだと考える。

それに引き換え、日本人はどうだろう。バブルの絶頂期あたり、海外資産を買い漁った日本企業は、どれだけのメリットを受けているのだろう。ゴッホの「ひまわり」や、ロックフェラービルの買収などで話題となったが、その後、売却して撤退、というニュースをよく耳にした。「ひまわり」に至っては、ニセモノ疑惑が払拭されていない。記憶に残る成功例としては、ソニーのコロンビア・ピクチャーの買収くらいなのではないだろうか。この買収は、逆に「映画を作る権利」を大金で買っただけ、とメディアに揶揄されていたが、今やソニーの屋台骨だ。

例を挙げる。あなたが、離婚するとして、財産分与等で1000万円現金が入るが、一方、自宅不動産のローンも引き継ぎ、毎月10万円支払わなければならない、としたらどうするだろうか(ローン残高は、3000万円程度で、1000万円では到底支払えないとする)。そして、ふたつの選択肢がある。

A 1000万円を定期預金し、ローン分を毎月取り崩していく。

B 大手の証券会社で取り扱っている配当型の投資信託(たとえば海外リート)を購入し、配当金で支払っていく。

普通の日本人は、Aを選ぶであろう。1000万円を大事に預金し、徐々に取り崩していくだろう。しかし、これも元本毀損だ。元本(1000万円)は徐々に減っていってしまう。

一方、Bならばどうか。海外リートの現在の分配金水準はおおむね年15%ほどの利回りなので年間150万円ほどの配当が見込める。毎月10万円のローンも支払えた上にお釣りが来るのだ。勿論、為替やリートの価格の変動によって、元本を割る可能性はある。

この二つの例を比較したとき、前者では元本毀損がほぼ確実、後者なら元本を割る可能性も勿論あるが、増える可能性もある上に、当面は余剰もでる。 合理的に考えれば後者の方が有利となるが、日本人は前者を選んでしまう。

こういった不合理な選択がなされる背景というか根本的原因としては、日本人が「投資=ギャンブル」と思い込んで(あるいは「擦り込まれて」)しまっているからだろう。

欧米人や海外に進出している華人は、資産の維持・増大に強い関心を持っていると一般的に言われている。その投資姿勢は、日本人に違和感を感じるが、世界的に見れば当たり前なことであろう。一生懸命に考え、努力し、リスクも引き受けて投資した結果、資産を増やして何が悪いといったところであろう。学校教育でも投資の基本的考え方や手法を教える国もあるようだ。

ところが、日本人は、投資=ギャンブル=悪、という固定観念から抜け出せない。裁判所の自己破産申立書には、浪費をチェックする欄に「投資」を書く欄がある。もちろん、レバレッジの高い取引や、株の頻繁売買など、浪費に近い投資があることは否定しないが、いわゆるバリュー投資や長期投資、投資信託の安定的保有など、浪費からほど遠い投資もある。しかし、十把一絡げに「投資=浪費」とされてしまっているのだ。

日本という国自体が、ガンガン物を作って世界に売りまくって稼いでいた時代から、蓄積した富を上手に使って長らえていく時代に移ってきている。時代の趨勢にあわせた発想の転換が必要だろう。(同じ内容は「所長ブログ「今を考える」http://www.lighthouse-lo.com/column_list.htmlにも載せています)

青山雅幸 の紹介

ライトハウス法律事務所所長。 一見怖そう。人情に厚く涙もろい一面も。
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