医療過誤の解決事例

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医療過誤の解決事例

最近の解決事例の中から、依頼者のご承諾を得て紹介しております。

50代女性公立総合病院

カニューレ装着患者の窒息事故

事案

ろれつがまわらなくなり、また意識障害も併発したため、Gさんは救急車でA市立病院へ搬送されました。Gさんは、脳梗塞・心筋梗塞・肺炎を併発していると診断され、そのままA市立病院の集中治療室に入院しました。
Gさんの呼吸状態が良くなかったため、Gさんには気管切開が施され、切開部にカニューレ(空気の送排のために体内に挿入するパイプ状の医療器具)が取り付けられました。
その後、Gさんには右半身に麻痺は残っていたものの、徐々に回復を見せ、数週間後には4人部屋へと移り、友人が見舞いにきた際には笑顔を見せたり、麻痺している方の右手をほんの少し動かすこともできるようになりました。
しかし、その一方で、カニューレには、頻繁に痰がからみ、Gさんは時折激しく咳き込んだり、もがいて喉をかきむしるような仕草を見せました。
Gさんは、気管切開をされているために声も出せず、さらに、両手には、病院側によって、厚手のミトンのようなグローブを装着されていたため、右半身が麻痺しているGさんは、自分でグローブを外してナースコールのボタンを押すこともできませんでした。このため、痰がからむと、Gさんはただ苦しそうにもがき、見舞いにきていた家族や友人達が、その都度看護師を呼んでいました。
また、Gさんは自力で起きあがることもできず、カーテンで周囲からも遮られ、更に、呼吸状態を観察する装置(サチュレーション)等も全く設置されていなかったため、Gさんはカニューレに痰が詰まり、呼吸困難に陥ったとしても、それを外部に知らせる手段がなかったのです。
そしてある夜、不安はついに現実のものになってしまいました。
カニューレに痰が詰まり、窒息状態で発見されたGさんは、そのまま亡くなってしまったのです。

問題点

本件は示談交渉では決着せず、訴訟を提起することになりました。
一般社会の常識からすれば、Gさんのように、声も出せず、体も麻痺している状態の患者に、呼吸状態を監視するための簡便な装置であるサチュレーションすら装着していなかったA市立病院の看護体制は、ずさんなものであったと言わざるを得ません。
ところが、A市側は、このような監護体制でも問題ないとの主張を繰り広げました。医療界の常識と一般社会の常識が著しくずれていると感じざるを得ません。
ちなみに、A市立病院では、Gさんの死亡事故をきっかけに、同様の状態の患者すべてに対し、サチュレーションを装着するよう監護体制を改めたとのことです。
A市立病院の監護体制の改善については評価すべきではありますが、そうであるならば、そもそも、なぜ過失を争ったのか疑問を呈さざるを得ませんし、Gさんの死という代償はあまりに大きいものでした。

解決

A市が、Gさんの相続人に対し、800万円を支払う内容で訴訟上和解が成立しました。

  

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