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解決例

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あまりに不十分なインフォームドコンセント 不適切な手術

18歳 男児 / 静岡県立総合病院 整形外科

事案

A君は、4歳の時、鉄棒から転落して骨折しました。
その後、特に不自由はなかったのですが、小学4年生になる頃、左手が肩に付かないことに気づきました。しかし、日常生活には影響が無く、少林寺拳法を行うスポーツマンとして成長しました。
ただ、肘を曲げた際に、外見上わずかに凸むこと、激しいスポーツの際に若干の違和感があったので、念のためということで中学2年の14歳の時、静岡県立総合病院で診察を受けました。
その結果、左陳旧性モンテジア骨折(尺骨骨幹部骨折と橈骨骨頭の脱臼を合併したものをいう)と診断され、A君の成長が止まったら再診するようにと指示されました。
18歳になり、医師の指示通り再診したところ、医師は、A君と家族に対し、「モンテジア骨折は、痛み・痺れ・麻痺が必ず起こるので、何れは手術が必要になる。」と説明し、手術(尺骨骨切り・延長術)を勧めました。手術の合併症などについて、特段の説明もなく、他の選択肢も示されなかったため、A君と家族は手術を受けることを決めました。
術後、医師は「上手くいきました、3ヶ月もすれば骨も付くでしょう。」と告げましたが、骨癒合が遷延しただけでなく、A君には、術後、上腕が完全に伸展しない、疼痛、力が入らない、重いものが持てない、などそれまでになかった後遺症が出現しました。
このため、A君は知人の紹介により専門医が在籍する病院で診察を受けることとしました。その診察時に、このような陳旧例に対して手術をすれば、これによって痛みが出ることは十分にあり、その痛みに対して手術が必要となる可能性が高いこと、また、手術をすることによって、肘や腕に負担がかかる仕事や行動など日常生活に支障を来すことがありうることなどの説明を初めて受け、大きなショックを受けることになりました。
A君には、後遺障害11等級相当の障害が残存し、将来再手術をしなければならない危険性のあることが告知されています。

問題点

本件で問題となった症例は、4歳時の脱臼により引き起こされたモンテジア骨折であり、手術を検討した18歳の時には、既に14年が経過していました。手術後、A君らは初めて知ったのですが、このように長期間が経過したモンテジア骨折陳旧例に関しては、一般的に予後は良好とされており、特段の症状がなければ、保存的治療(経過観察)が原則とされ、手術の適応はないものとされていたのです。文献では、陳旧例に対する手術によって、それまでになかった症状がでることまで警告されていました。また、仮に重大な神経症状などがあってどうしても手術をしなければならない場合でも、長年の経過に基づいて関節部分の骨が変形してしまっているため、今回行われたやり方とは別の方法(橈骨骨頭切除術)を取るのが普通でした。
ところが、静岡県立総合病院の医師からは、術前にも、術後にもこのような説明がされていませんでした。A君やその家族は、最低限知らされるべきこれら情報もないまま、通例は行われない手術を受けることとなり、その結果も文献で警告されていたとおりの、悪いものとなってしまったのです。
本件は、適切な説明をしないまま、医学上必要ない-むしろ有害な場合すらあると警告されている-手術を行い、将来ある若者に、それまでになかった後遺障害を発生させてしまったのです。
その意味で積極的・作為的な医療過誤であり、重大な結果を医源性に発現させてしまったもので、過失は極めて重大と考えられます。

静岡県の姿勢の問題点

静岡県の運営する各病院(がんセンターを除く)においては、医療過誤事件が度々起きています。また、医療過誤が発生した後の事故調査や再発防止策も、どの程度真摯なものが行われているのか、明らかにされていません。したがって、重大な医療過誤が、今後も起こり続ける恐れがあります。しかしながら、このような状況を県民はほとんど知らされていません。
静岡県は、県民の医療安全に奉仕するべき地方公共団体としてのその地位並びにその責務を十分に自覚し、医療過誤を疑われる事件が発生した場合には、ただちに第三者委員を交えた原因究明を徹底的に行い、その結果に基づいた再発防止策を講じるとともに、被害者に対し真摯な謝罪と補償を行う公正なシステムを構築してほしいものです。また、外部の経験豊富な医師のアドバイスを求めるなどして、現行の体制の問題点の見直しを図り、医療過誤がおきにくい状況の整備に努めるべきです。

解決

静岡地方裁判所は、医師の説明が不十分であったことを認め、静岡県に対し、2,221万7,145円の損害賠償を命じました。その後、静岡県が控訴したため、原告も控訴しましたが、控訴審では、1審判決を踏まえた2,300万円の和解金を県が支払う内容で和解が成立しました。

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