「交通事故を起こしてしまいました。謝っては損?」

Q.交通事故を起こしてしまったら、現場では絶対に謝っては損ですか。現場での対処法を教えてください。

A.そんなことはありません。自分に非があると思ったら、誠意をもって謝ってください。

その1.悪ければ謝ろう
 交通事故を起こしてしまった場合、必ず損害賠償が問題となってきます。
そして、確かにアメリカでは、たとえ自分が悪いと思っても絶対に謝ってはいけないと弁護士にアドバイスされるということもあるようです。
しかし、ここは日本です。自分が悪いと思ったら、きちんと謝ってください。

 「現場で謝っては損である。」という考え方が出てくるのは、後で損害賠償の問題になった場合に不利になるのではないかという不安が背景にあるのだろうと思われます。 単純な追突事故等を別として、自動車同士の交通事故では一方に100%の責任がある場合というのは意外と少なく、多少なりとも被害者の側にも落ち度があることが通常です。
 例えば、相手方にも前方注視義務違反で10%の過失がある場合、あなたは相手方に生じた損害の90%を賠償すれば良いことになります(これを、「過失相殺」といいます。)。
その2.過失相殺は客観的に決まる
 では、現場で謝ってしまったことによって、この過失相殺の主張は出来なくなるのでしょうか。
 結論からいえば、決してそのようなことはありません。
 双方の過失割合は、事故の態様から客観的に決まるものであって、どちらが謝ったかによって左右されるものではないのです。

 自動車保険には、相手方との示談交渉を保険会社が代わりに行ってくれる示談代行サービスが付加されていることが通常です。
 したがって、損害賠償の問題については全て保険会社に任せてしまうことも可能ではあります。

 しかし、保険会社レベルで話がこじれてしまい、示談がまとまらなくなってしまうケースを見ていると、「加害者に誠意が見られない。」「お見舞いに一度も来ない。」といったような事故後の加害者の態度に対する不満が原因となっていることがよくあります。
 そのような感情的トラブルを生じさせないためにも、人損事故でしたらせめて一度くらいは早い時期にお見舞いに行かれることをお勧めします。

 なお、保険会社によっては、契約者に対して、直接相手方と会わないようにさせることがあるかも知れません。
 これは、交通事故に関して専門的知識を持たない契約者が、保険会社の知らないところで被害者に余計なことを言ってしまうことを嫌がっているものと思われます。
 そのような保険会社の考え方も理解できないではありませんが、全てを保険会社任せにしてしまうことには私は賛成できません。
その3.現場約束はしない
 ただし、事故の現場で「全て私がお支払いしますから。」など、あたかも法律的責任についても全面的に負うかのような発言(これを「現場約束」といいます)は避けた方が良いかも知れません。
 また、そのような念書を書かされそうになったら、それは断った方が無難です。

 事故当時は、混乱して冷静な判断が出来ないのが通常ですから、仮にそのような発言をしたとしても、後で過失相殺等を主張できないということはありませんし、たとえそのような念書を書かされたとしても無効の主張もできるでしょうが、混乱のもとになるのは間違いありません。
 被害者の方によっては、そのような発言を盾に不当な請求をしてくる人もいますから、注意は必要です。
 事故後は、保険会社の担当者とよく相談して、相手の要求が不当であると感じたら弁護士を紹介してもらうと良いでしょう。

(法律マニュアルは「弁護士も聞きたい法律相談」より引用・一部内容を訂正して掲載しております。)

 

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