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解決例

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手術後の経過観察及び急変時の診断・治療ミス

5歳 男児 / 静岡県立こども病院 心臓血管外科

事案

患者は、当時5歳のAくん。
平成13年、静岡県立こども病院にて心房中隔欠損症の手術を受けたAくんは、心膜切開後症候群により心膜炎(心臓を包む膜の内側に水が貯まるもの)をおこしました。
退院後、この心膜炎が徐々に進行し、レントゲンの数値を見ても心臓が拡大していたことは明らかであったにもかかわらず、こども病院の医師は、3回の外来経過観察中にこれを見落としていました。
そして、約1ヶ月半後、Aくんは心タンポナーデ(心臓の回りに貯まった水により心臓が拡張障害を起こし、全身に血液を十分に供給できないという致命的病態)に至り、さらにこれに対して、こども病院医師の対応が遅れたために心停止をきたし、これにより脳障害・多臓器不全が発症し、死亡しました。

問題点

1.最近では、エコー検査の発達により、手術後の心膜炎が心タンポナーデにまで発展する例は皆無に近くなっています。
AくんのこどもTR値(心臓の横幅が胸の幅に占める割合)は、一貫して上昇し、危険値とされる50%を超えていました。にもかかわらず、こども病院の医師は、経過観察時にエコー検査を行わず、心嚢膜(心臓のまわりの膜)に心嚢水が貯留(心臓手術後等の外傷により、炎症反応によりで水が貯まる)したことを見落としました。
本来であれば、心膜炎は、安静及び消炎剤(アスピリン)、ステロイド等の内科的治療で、軽快治療するものです。しかし、こども病院医師の見落としにより、これらの治療がなされなかったため、Aくんの心膜炎は重症・悪化することになりました。

2.心タンポナーデとは、心臓の回りの膜に水が大量に貯まり、心臓が拡張できないため、全身の血液が十分に心臓に戻って来ず、血液循環が妨げられ、心停止に至ってしまうという、緊急を要する病態です。けれども、要は、心臓のまわりに水が貯まっていることが問題なので、注射針を刺して水さえ抜けば(これをドレナージといいます)症状は劇的に解消するのです。本件でも、早期にドレナージさえしていれば、死亡という結果は防げたはずでした。
しかし、こども病院では、Aくんの容態が急変して運び込まれた際、もっとも重要な検査であり、かつ、経時的にチェックが必要な心エコー検査を、最初の1回しか行わず、心停止に至るまで、緊急事態であることを見逃し続けました。
  
3.Aくんが急変して運び込まれた日、こども病院医師は、全身麻酔と人工呼吸という2つの治療を、ドレナージに先行して行いました。しかし、これは心タンポナーデを悪化させることから、心タンポナーデでは禁忌とされている治療だったのです。
Aくんの容態は、全身麻酔、人工呼吸の実施後に、血圧の急降下などがみられ、急激に悪化しました。

和解条項

1.こども病院は、Aくんのご両親に対し、和解金4,000万円を支払う
2.今後、こども病院においては、経過観察等に留意し、県内の中核病院としての医療水準を保持すべく勉励する

こども病院は、静岡県の医療の中核を担う存在として設立されたものであり、Aくんも、他都市の総合病院から紹介を受けてこども病院を受診しました。 
しかしながら、本件医療事故の内容はその医療水準を疑わせるものでした。和解条項第2条は、こども病院に、「重大な病気に苦しむ子供達が、安心して治療を受けられる存在になってほしい」「もうほかの家族が、同じ思いをするようなことがないように」との、ご両親の強い思いが込められた条項です。

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