医療過誤の解決事例

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医療過誤の解決事例

最近の解決事例の中から、依頼者のご承諾を得て紹介しております。

80代 女性私立総合病院 耳鼻咽喉科

手抜き診療

事案

被害者は80代で一人暮らしの女性Cさん。
平成12年10月12日夜、ひどいめまいを覚え、嘔吐を繰り替えしました。
翌朝になっても、めまいが治まらず、再び嘔吐したため、救急車で静岡市内の総合私立病院Nに搬送されました。救急処置室に運ばれましたが、医師は問診さえせず、「あーあ、2、3日だ。」といって、採血室へ回し、心電図を取りましたが、その日は医師の診察を受けられなかった。

その後2日間医師の診察がなく、点滴をされただけでした。
医師が回診にきても、カーテンの陰から顔だけ出して、「退院!」とだけ言って帰っていくだけでした。
16日になりようやく耳鼻咽喉科の治療室で診察を受けましたが、特に治療されることもなく、午後になると医師は再びカーテンの陰から顔だけ出して、「退院!」と言って帰っていきました。
17日、医師がやってきたが、カーテンの陰から顔だけ出して、「退院!」とだけ言って帰っていった。
18日、またも医師から「退院!」と言われたため、Cさんは遂に堪忍袋の尾が切れて、医師と口論となりました。
19日、この日も診察がなく、20日、退院となりました。
Cさんは、10月22日、知人に電話をした際に、右耳が聞こえていないことに気づき、個人医院の医師の診察を受けたところ、右急性感音性難聴となっていましたが、既に手遅れの状態で、改善の見込みはないと事態に陥っていました。

問題点

N病院は、Cさんが救急車で運ばれてきた患者であったにもかかわらず、当初より、まったく治療らしい治療を行いませんでした。なにより、問診をまったく行っておらず、原告の症状を把握すらしていませんでした。この背景には、原告が高齢であり、入院が長引くことを嫌ったことがあるとみられます。カルテ上も、ほとんど記載らしい記載もなく、適切な治療を行おうという意欲が感じられない事案でした。
その結果、もっとも重要な初期治療がなされず、原告の右耳の聴力は永久に失われました。

解決

平成13年に静岡地方裁判所に提訴しました。当初被告代理人はまったく責任を認めようとせず、和解などまったく考えていないという発言もありました。しかし、当方が被告の責任を明確に記載した私的鑑定書を提出するなどした結果、徐々に態度が変化し、裁判所からの積極的な和解勧告もあって以下の内容で和解が成立しました。依頼者の方は、自分が受けた納得のいかない扱いに強い憤りを覚えておられました。 このため、特に2の条項が和解に盛り込まれることとなりました。

和解条項

1.被告は和解金として金400万円を支払う。
2.被告は、原告に対し、本件に関する被告の治療が原告の期待に添うものではなかったことについて遺憾の意を表するとともに、今後、高齢者の心情等に十分配慮した医療サービスを提供するよう約束する。

  

弁護士法人 ライトハウス法律事務所

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