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解決例

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ガイドライン上の適用外であったが、そのことを告知しないままペグインターフェロン+リバビリン併用療法を開始し、患者に1型糖尿病を発症させた事例

20代・女性Mさん / 内科開業医

【事案】

Mさんは、献血に出かけた際にC型肝炎ウイルスの持続感染者であることを知り、定期的に検査を行っていました。

Mさんの母もC型肝炎ウイルス持続感染者で、母がインターフェロン治療をすることになったことから、説明だけでもきいてみようと思ったMさんは、母と共に相手方医院を訪ねました。

相手方医院の医師は、Mさんに、「うちはインターフェロン治療にかけては最先端だから何も心配いらない」といった話をし、2冊の冊子を差し出して読んでおくように言い、副作用については、インフルエンザと似た症状になること、頭髪が多少抜けること、体重が減少する傾向があることを挙げただけでした。このとき、医師は説明しませんでしたが、医師は肝臓専門医ではありませんでした。

なお、MさんのALT値及び血小板数は基準値範囲内であり、無症候性キャリア・血清ALT正常C型肝炎の状態でした。

その翌月からMさんのインターフェロン治療が開始され、週に一度の通院をしていましたが、外来のほとんどは看護師のみの対応であり、約1年間の外来治療中、医師と顔を合わせる事はほんの数回ほどで、血糖値が測定されることは一度もありませんでした。

治療を開始してから約1年の頃、Mさんは全身の倦怠感を感じ、この症状は日々悪化していきました。また、体重も除々に減り始めたことから、Mさんはこれらの症状を看護師に伝えましたが、何の対処もされませんでした。

なお、治療期間は添付文書に定められた48週を超え、52週にわたっていましたが、これは医療上の必要からではなく、単なる計算違いによるものであったことが、後に医師自身の尋問で明らかになっています。

体調悪化からまもなく治療は終了しましたが、Mさんの体調は一向に体回復せず、翌月、治療後の経過のための外来診察時にようやく血糖値が測定され、300を超える数値に驚いた医師が、Mさんを緊急転院させました。

Mさんは入院し、1型糖尿病と診断されました。以後は、インシュリン注射が必要となり、血糖値コントロールに気を遣う毎日です。

【問題点】

本件では、最初の協力医から十分なアドバイスを得ることができず、2番目の協力医により、投与期間が添付文書の用法を超えていることが教示されました。

これは、平成8年最高裁判決(添付文書違反は過失が推定される)に違反するものであり、裁判においては重大な問題です。それに加え、当事務所において、治療当時のガイドライン、また、ガイドライン制定前の通説的学説、治療後のガイドラインを徹底的に研究し、Mさんのような無症候性キャリア・血清ALT正常C型肝炎の場合は、原則経過観察であり、インターフェロン治療(ペグインターフェロン+リバビリン併用療法)は適用外であったことを確認できたため、提訴に踏み切りました。

【解決】

医師本人に対する反対尋問はかなりの成功を納め、医師にはインターフェロン治療を行うに足る専門知識に欠けたことを如実に示すことができ、また、Mさんにインターフェロン治療の適応がなかったことも認めさせることができました。その結果、尋問終了後直ちに裁判所から強力な和解勧告がなされました。

和解交渉においては、本件治療当時から次世代型のC型肝炎治療薬が開発されつつあり、これが実用化されれば、仮に将来においてMさんに治療の必要が生じたとしても1型糖尿病発症を回避できた可能性があることも追加立証し、適正と考えられる和解金(2500万円)での和解が成立しました。

医療事件においては、専門医の意見だけでなく、司法の観点から、弁護士独自の判断も必要であることを再認識した事件でした。

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