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解決例

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新生児蘇生処置の懈怠と記録不備

20代 経産婦  / 開業医 産婦人科

経過

Aさんは,妊娠判明以来,X産科クリニックで診察を受けてきました。
40週3日で,5分おきの陣痛となり,11時40分,X産科クリニックに入院しました。
到着後診察を受け、分娩監視装置(胎児心拍数モニタリング(CTG))が装着されました。
その後,12時13分から軽度変動一過性徐脈や基線細変動の低下傾向が認められましたが,子宮口が十分に開いていないとして、クリニック内の廊下を一人で歩くよう指示されました。Aさんの分娩監視装置は取り外され,廊下を歩き始めて10分程歩いたところ、陣痛が始まりました。Aさんは、痛くて声も出せず、廊下の床に手をつき、その場にうずくまってしまいました。
その後、看護師に発見され、13時25分,分娩台まで連れて行かれて診察を受けましたが、子宮口が6センチであったため、さらに歩くよう指示されました。Aさんが自室まで歩いて戻ったところ、急に陣痛が強くなり、足がガクガクして歩けなくなりましたが,看護師から「頑張って歩いて」と言われ、自分で分娩台まで歩いて台に乗り、13時50分,診察を受けると、子宮口は既に全開でした。
13時53分,分娩監視装置が装着されましたが,胎児心拍数は70回/分の高度徐脈で,すぐに基線細変動は消失しました。
しばらくすると、医師からは「力んで」と言われ,Aさんは「息を止めて」「力んで」と言われて指示通り力み、看護師が腹部を押したが、その度に、腹部に強い痛みを感じました。その後再び腹部を10回位押され、同日1時56分に申立人を出産しましたが,啼泣なし,全身早剥,呼吸なしで,ラジアントウォーマーに入れられました。生後1分のアプガースコアは2点で,重症の新生児仮死の状態でした。生後4分まで蘇生措置はされず,生後4分になって気管挿管が試みられましたが食道に誤挿入され,もう一度試みられて気道確保されたものの,生後14分から3分間,心拍停止しました。その後,生後24分の時点で心拍数は回復し,生後1時間54分の時点でこども病院の医師が到着し,気管内吸引で胎便と淡血性の混じったものが多量に吸引されました。その後,こども病院に転送され,治療が施されましたが,脳性麻痺の後遺障害が残ってしまいました。

問題点

・分娩監視の中断
 本件で,何が原因で新生児仮死となったかについて,もっとも疑われるのは臍帯の血流障害と,それによって引き起こされる胎児の低酸素脳症です。
本症例の場合,軽度変動一過性徐脈や,基線細変動の低下傾向があったにも関わらず,分娩監視装置を外していた時間が1時間40分間も続きました。この間に,臍帯の血流障害イベントが起きたものと推測されます。仮に分娩監視装置が装着されれば,異常所見を早期に発見でき,新生児仮死に至る前に分娩できた可能性があります。杜撰な管理が発見を遅らせてしまったのです。
・新生児蘇生処置の懈怠
本症例では,啼泣なし,呼吸なし,アップガースコア2点/1分なのですから,日本産婦人科学会編「産婦人科診療ガイドライン2011」によれば,「胸骨圧迫,アドレナリン投与などの緊急蘇生措置が取られなければなりませんでした。しかし,本症例では,生後4分の時点で気管挿管が試みられるまで,ラジアントウォーマーに入れられただけで,何も蘇生措置は行われませんでした。この懈怠は,重大な過失と言わざるを得ません。
・ 医療記録の不備
本症例の医療記録は,あまりにもルーズなもので,重要事項がかなりの程度,記載漏れとなっています。例えば,出産時に子宮底圧迫法が行われていますが,医療記録に記載されていません。一事が万事で,X産科クリニックの医療行為が,トータルにルーズであった印象は否めません。

解決・示談での和解

本件では,協力医に意見書も作成いただき,万全の体制で示談交渉に臨み,早期の和解解決となりました。
 本件は,個人開業医であり,交渉相手は,医師会(具体的には,その代理人弁護士)でしたが,訴訟に至らず解決できた点は評価できました。
ただし,X産科クリニックの診療体制には大きな問題があるところであり,再発防止のための努力が強く望まれます。

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