医療過誤の解決事例
最近の解決事例の中から、依頼者のご承諾を得て紹介しております。
骨折観血的手術事故:髄内釘挿入ミスによる二次骨折と末梢神経障害
事案
Aさんは職場で転倒し、左肘を強く床に打ち付けて私立総合病院に救急搬送されました。
Aさんは左上腕骨骨幹部骨折と診断され、骨折観血的手術(骨折の外科的手術)を受けることとなりました。当初、手術では髄内釘およびスクリューを用いて骨折部を固定する予定でしたが、髄内釘を挿入する際にハンマーによる打ち込みをしたところ、上腕骨遠位に新たな骨折を来し、予定外のワイヤリングも行われることになり、このワイヤリングの際に橈骨神経を剥離して手前によけるという操作も行われました。
手術直後からAさんの左手首から指にかけて麻痺が出現し、橈骨神経麻痺との診断を受けました。また、術後肩峰部位より髄内釘が突出していたため、そこにも痛みを感じていました。
結局Aさんは別の病院に移り、突出していた髄内釘をより短いものに入れ替える手術をしてもらうことになり、さらには前述の二次骨折により生じた欠損部分を補填するため腸骨を採取して海綿骨移植も受けることとなりました。
問題点
骨折観血的手術の際に、骨の狭窄部の直径に近似した髄内釘を選択しなければならない注意を怠り、無理やり挿入するという操作が行われたことによる二次骨折がすべての発端でした。この二次骨折を整復するためのワイヤリングで付近を走行する橈骨神経を圧迫したことにより傷害が生じてしまいました。またこの時の髄内釘の長さも適切なものではなく、術後に疼痛をもたらすという結果にもなってしまったのです。
解決:訴訟上の和解
Aさんは、当事務所からのアドバイスにより受診された後医による治療が功を奏したこともあり、訴訟においても円満に和解金が支払われることとなりました。