医療過誤の解決事例

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医療過誤の解決事例

最近の解決事例の中から、依頼者のご承諾を得て紹介しております。

60代女性個人病院

脱肛(内痔核切除)手術前の浣腸による直腸穿通

事案

Aさんは脱肛の症状があり、当該病院を受診しました。内痔核との診断を受け、ヘモナーゼ配合錠、酸化マグネシウム錠、強力ポステリザンを処方され、経過観察をしていました。
1週間後に症状が悪化したため、再度当該病院を受診し、そこで内痔核の進行度Ⅳ、嵌頓痔核(かんとんじかく)と診断され、痔核切除手術を受けることとなりました。
翌日(手術前日)、Aさんは当該病院に入院し、20時に術前処置としてマグコロールP、プルゼニド錠12mg4錠を服用し、夜間に一度多量の排便がありました。
手術当日、Aさんは9時に術前処置として、トイレにて立位で看護師にグリセリン浣腸を施されました。
10時30分、Aさんは看護師が術前点滴のため血管確保をしている最中に動悸・息切れを起こし、酸素4Lカヌラを装着することになりました。
10時40分Aさんは胸痛発作が起こり、看護師の指示で持病薬(ニトロペン舌下錠)を舌下しました。
11時に2回目の胸痛があり、再びニトロペン舌下錠を舌下。
11時30分に3回目の胸痛発作で再度ニトロペン舌下錠を舌下し、心電図上も異常所見が認められたことから、Aさんが狭心症で普段通院している公立総合病院に救急搬送されました。
13時26分に公立総合病院に搬送されたとき、Aさんの胸部症状は治まっていましたが、下腹部痛と肛門通があったため、医師の判断で腹部を含めたCT検査が行われ、この時に直腸穿通が判明しました。Aさんは緊急ハルトマン手術・肛門シートンドレナージ術を受け、S上結腸単孔式人口肛門を造設されることとなってしまいました。

問題点

グリセリン浣腸を実施するにあたっては、立位での浣腸は危険とされています。これは立位で行うと腹部に圧力がかかることにより、直腸前壁の角度が鋭角になるため、浣腸の先端が直腸前壁にあたりやすく、穿孔する危険性があるからです。そのため、浣腸をする際は左側臥位により慎重に行うことが義務とされています。

解決:訴訟上の和解

本件は人工肛門に至ったことが不可避であったかが争われ、訴訟となりましたが、当方がその経緯を主治医から事情を聞くなどして、丁寧に主張していたった結果、被告病院も納得し、和解金として1700万円が支払われ、円満な解決を迎えることができました。

  

弁護士法人 ライトハウス法律事務所

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