医療過誤の解決事例

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医療過誤の解決事例

最近の解決事例の中から、依頼者のご承諾を得て紹介しております。

80代女性 Aさん総合病院

救急外来における急性髄膜炎、重症敗血症の見落とし

事案

 Aさんは、救急車を要請するほどの激しい後頭部痛があり、当該総合病院(以下「B病院」とします)に搬送されました。B病院では頸部から後頭部にかけての痛み、頚部硬直、SpO2低下、心拍数上昇、呼吸数上昇、WBC上昇、CRP高値などの所見があり、血液検査もオーダーされ、D-dimer高値、BUN、AST、ALTの上昇、アニオンギャップ上昇、乳酸値高値が認められる検査結果でした。しかし、頭部CTでは明らかな頭蓋内病変は認められず、椎骨前面の一部に石灰化を認めるとして石灰沈着性頚長腱膜炎の疑いで鎮痛剤を処方されて帰宅となりました。
 二日後、Aさんは息遣いが荒くなり、意識障害が出現し、C総合病院に救急搬送され髄膜炎と診断され入院となりました。その後、意識レベルが改善することはなく、翌々日にB群連鎖球菌敗血症で死亡となりました。

問題点

 最初の救急搬送の時点で、急性髄膜炎や敗血症を疑うことはできなかったのかという点が一番の問題となりました。確かに本件は発熱や意識障害を伴わない頚部痛であり、項部硬直も陰性ではありましたが、左右首振り(jolt accentuationテスト)は陽性でした。
 成人及び高齢者の細菌性髄膜炎の古典的三徴である「発熱」、「項部硬直」、「意識障害」、さらに「頭痛」を加えたものを四徴と言いますが、これらのうち2つがあれば細菌性髄膜炎を疑うのは当然であり、高齢者においては2つの症状がなかったとしても、積極的に髄液検査を行い鑑別することとされています。本件事案は、Aさんが80代の高齢者であることから、上記のうち一つでも当てはまる症状があれば細菌性髄膜炎を疑うべきであったのです。
 仮に髄膜炎診断が困難であったとしても、血液検査結果を見れば臓器機能不全を示唆する所見が存在していたことから、敗血症を疑うことも可能であった言えます。

解決:示談での和解

本件は、医療調査を重ね、協力医の先生方から詳細なレクチャーをしていただき、高齢者における髄膜炎の鑑別について知識を深めていく中で、ひとつひとつ丁寧な主張を行っていった結果、被告病院も納得し、和解金として500万円が支払われ、円満な解決を迎えることができました。

  

弁護士法人 ライトハウス法律事務所

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